長雨が続いて世界各地で異常気象、そんな不安要素たっぷりの状況下でのタイムリーなアニメ、新海誠監督の『天気の子』を観たグリコール・グリコです。
新海誠監督の作品はいつもあやふやな約束の中で何かを貫くことが好き
新海誠監督の作品は確実な約束の中で確実な何かを育む、というよりは不安定な薄い約束の中で『純』を極めていくという展開が多い気がします。
『君の名は』は時間の流れ自体が違う中での主人公たちの入れ替わり、『言の葉の庭』では、雨が降ったら逢えるかも?という確実性のない出会いが共通しています。
新海誠作品、画面から追体験できる雨の街の湿度ある描写がもの凄く上手い
『言の葉の庭』では新宿御苑で通り雨が降るシーンがあるのですが、天気が急変する時に感じる突風や湿った匂いまでも画面から感じるほどでした。
雨の描写がすごく上手くてオバハン、コーフンしたのを覚えています。
『天気の子』はさらに湿度が皮膚感覚で感じられる描写になっている
都心のエアコンの室外機から出る熱風や、雨が降った時の湿度の高い感じが皮膚感覚で体感出来る描写です。
濡れた坂道の窪み、窓枠の反射、雨粒の描写。
誰もが雨の時に見た風景がそこに映し出されていて”そうそう、こういう感じだよね、、”と作中に入り込みやすいです。
『天気の子』楽曲と映像がお互い響き合っている
RADWIMPSの楽曲が登場人物の心情を表現していて楽曲と映像がお互い響き合っています。映像と音楽の関係性は重要ですね。
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『天気の子』のキーポイントになる代々木の廃ビルって、、代々木会館じゃん!傷天のあのビルが再び!
今回個人的に一番食いついたところは”代々木の廃ビル”。出て来た時あ、アレは、、!
と胸がざわつきましたぜ。
『傷だらけの天使』でオサム(ショーケン)が住んでたペントハウスがあるビルじゃ〜あ〜りませんか〜!♪ヤダ懐かしい、代々木会館!!
従姉妹に連絡したらソッコー写真を送ってくれました。コレコレこのビルですぅ〜
実母の実家が代々木なのであの辺りのリアルな風景描写はとっても懐かしいし、作品にスーっと入り込めるのですよ。(エンジェルハウスもとい代々木会館、2019年8月にいよいよ解体だそうです)
『天気の子』複数のスポンサーがついているから逆にリアルに商品を描けて作中の中に浸れる
スポンサーに忖度してる、とかいう方もいますが、スポンサーの商品を探すのもまた面白いです。
”〜の、ようなもの”を曖昧に描くより、堂々とスポンサー提携してリアリティを追求する方が絵的に破綻がなくて個人的には好きです。
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『天気の子』やべーThe Catcher in the Ryeが出て来たー
離島から家出して来た帆高がネカフェでインスタントラーメンの蓋の重しに使うのがJ.D.サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』です。
ガチ中二病じゃん。。
それも村上春樹の新訳版の方なんですよ。新海誠監督はハルキストなんすかね?
後半戦の大人との対立(警察や須賀の立ち位置)は”ライ麦〜”の要素が下敷きになっている気もします。
『天気の子』君の名はのあの二人も登場
作中で『君の名は』の主人公たちが脇にちょろっと出て来ます。特に三葉が出てくると会場がどよめいてました。(笑)
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新海誠監督は現代の小野篁?的な仕掛けで仕掛けてくる
新海誠監督は、黄昏時(誰ぞ彼)・逢う魔・お盆の時期など世界の境目が曖昧になる時間を『しかけ』として上手に使っています。
日本ならではの風習・文化を上手に使っているな〜と。海外でこの独特な時間の世界観が伝わるのかな。
ふと京都の六道珍皇寺の小野篁(おののたかむら)が浮かんできました。新海誠監督は現代の小野篁かもね。
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人間の視点から見たら狂っている世界だけれど地球的に見たら何が起きても地球は地球、ただそれだけ。そこが怖い。だから大丈夫としか言えない。
地球温暖化で世界規模であちこち災害が多発しています。でも46億年の地球史からしてみれば人間の営みなど瞬きくらいのものです。
人間の視点からみれば不安要素しかないけれど、46億年の地球の時間の中では繰り返し気候の変動があり、滅ぶものは滅んでいきました。
日本でもチバニアン(地球磁場逆転地層)なんてものが最近見つかり、過去に想像もつかないことが地球には起きていたわけです。
何が起こっても地球はただ地球としてある、この得体の知れない怖さ、久しぶり『ムー』を読みたくなりましたぜ(笑)。
だからこそ死にゆく大人はこれからの若い人に『大丈夫だ』としか言えないんです。
故に『愛にできることはまだあるか』と薄い希望をも投げかけているんですね。
攻めの新海誠監督作品、とにかく風景描写や世界観が相変わらず素敵なので絵からくる湿度を感じに良ければ劇場に足を運んでください。
何かを得るには何かの代償を払う、それって呪いの猿の手だー(笑)
以上、オバハンの映画感想でした〜。(汗)
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