本好きなジム友さん数人とオススメ本を紹介し合っています。人のオススメ本は自分の本癖から離れた本が多く逆に新鮮です。良かったよとススメられたのが2021年本屋大賞を受賞した「52ヘルツのクジラたち」です。今日はその本についての話です。
52ヘルツのクジラっているのか?
そもそも論から入るのが悪い癖なのですが(汗)、52ヘルツで鳴くクジラは存在するのかまずググりました。
52ヘルツの鯨(52ヘルツのくじら、英語: 52-hertz whale)は、正体不明の種の鯨の個体である。その個体は非常に珍しい52ヘルツの周波数で鳴く。この鯨ともっとも似た回遊パターンをもつシロナガスクジラやナガスクジラと比べて、52ヘルツは遥かに高い周波数である。この鯨はおそらくこの周波数で鳴く世界で唯一の個体であり、その鳴き声は1980年代からさまざまな場所で定期的に検出されてきた。「世界でもっとも孤独な鯨」とされる。
出典: フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)52ヘルツの鯨より引用抜粋
ウィキによれば”52ヘルツというのはチューバという楽器の最低の音よりわずかに高い”そうです。
52ヘルツではありませんが実際の鯨の鳴き声はこちらをどうぞ↓
最初聴いた時は『ホラー映画?!』というような音でしたが聴き続けると不思議とこころが静かに落ち着いていきます。
この『誰にも届かない声をあげているクジラ』が物語の象徴&土台を司り、人物が複数人登場してもぶれない”おもり”のような役目を果たしています。
小説『52ヘルツのクジラたち』
例えばタイトルが『52ヘルツのクジラ』だとしたら誰にも届かない声を上げ続ける世界一孤独な主人公のお話になりますが『52ヘルツのクジラたち』、と、複数形になっているところがミソ。
52ヘルツを発するクジラに喩えられる人は実は複数登場します。
そしてその周波数にチャンネルを合わせられる人がやはり存在して、結構ズタボロな重い内容なのに最後は背中を押されるような清涼感さえ漂うお話です。
有体に言えば『魂の救済と復興』あるいは『想いのペイフォワード』なのかな〜と思います。
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現代の複雑な問題要素をたくさん詰め込んで作られたお話
この小説、いびつな家庭環境(母子の在り方)、虐待、介護、トランスジェンダー、恋愛、、現代の複雑な問題要素をたくさん詰め込んで作られた小説です。
前半の出だしから唐突感があって「は?」となる主人公キナコとアンの距離感ですが、あれよあれよの展開にとりあえずぐいっとその世界観の中に引き摺り込まれ一気読み。
主人公に絡んでくる被虐待児のムシ(仮称52)が、最後には最上級の元の名前に戻るところがあっぱれです。
ただ取材を元に構成したと思われる箇所や、終盤に里親制度の説明が入って帳尻合わせのように話をたたんだな、と、感じてしまったのは年長者故の深読みかもしれないです。(ごめんなさい)
とはいえ、作者が読者に届けたい想いというのは素直に伝わって来るし、明けない夜はないよね、明日は誰かのために勇気を出そうと思える本です。
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帯の裏に小さなサプライズもあるよ
一番肩に力が入らず読めたのは実は本の帯の裏に置かれているスピンオフの短編。
スピンオフって漫画もそうなんだけど、本当はこういうのも描きたいんだよね、という作家の遊び心や本音が垣間見れるので実は好きです♡
本を読み終わった後、こういうサプライズを発見すると単純に嬉しくなってしまいます。
(しかーし!作者も本のターゲット層も若いので、本編も帯裏の活字も小さいのがオバハンには一番辛かった、泣)
段々紙本が電子書籍に押される傾向なので、差別化を図るためにもこのような仕掛けは今後も増えていくだろうな、と思いました。
また、図書館で借りると帯は外されると思うのでこのお楽しみはリアル紙本を買った人のちょっとしたギフトでもあるでしょう。
この本を友人に紹介したら早速電子書籍で読んでくれました。
このスピンオフも配信になっているか聞いてみたいと思います。
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人からのオススメ本を読む楽しさ
人からのオススメ本を読む楽しさはズバリ『守備範囲外のエリアを勧められる時』です。
割と食わず嫌いのところもあるので、オススメ本は新鮮です。
自分の中に新しい風が吹き込むそんな感じ
また、「オススメ本」を聞いてそれを読むというのは、あなたの言っていたことを受け取ったよというサインにもなります。
「同じ情報を共有した」後のコミュニケーションも更に弾むものになるのが良いところですね。
本日はジム友さんからのオススメ本「52ヘルツのくじらたち」のお話でした。
町田その子さん、全然知らなかったのでコレもググってみたらインタビュー記事がありました。こちら→☆
お若い作家の今後の活躍、期待しております。興味を持たれましたら是非ご一読下さい。
今日も最後までお読みくださりありがとうございました。
コメント
コメント一覧 (4件)
まず、スピンオフの件ですが電子書籍には残念ながらありません😭
どうも真帆さんのお話らしいですね。
こう言うことがあると電子書籍のメリット考えさせられます・・・。
この小説はこのページ数の中にこれでもかってほど盛り込まれているけれど、それよりも内容の深さに読み応えありました。
トランスジェンダーのついて、つい最近狭量な個人の見解を公の立場にある人が話した件を思い出し哀しくなりました。
他者の痛みに無関心でいられる奢りに失望します。
もっとたくさんの方達がフィクションであろうとも想像力働かせて読んでくれたらいいのになと思っています。
推奨して下さって感謝です☆
こんばんわ、ブラン様。
そっか、電子書籍にはスピンオフは収録されていないんですね。。。
スピンオフの感じは浅田次郎を彷彿させる語りです。
他者の痛みを解ることはできないけれど、知ることは必要だと思います。
こういう世界もあるという一つの切り口が小説だったりルポタージュだったりする。
知ることを放棄して無関心でいることは罪なことですよね、同感です。
こちらこそ情報を含めて諸々ありがとうございます。(ニンマリ)
こんにちはグリコさん。
ブログ復帰しようと思った矢先、確定申告を思い出し。。。
それが終わったらこんどこそ!とは思っているのですよ~。
私も読んでみる~。
面白そうです♪
お返事が遅くなりました、こんばんわkaorun様。
kaorun様とキャスティングを考えたいです。(笑)アンさんを誰にするかすごく悩んでいます(プロデューサーでもないのに)。
あはははは。