シニアですが今評判の映画「ルックバック」を先週観に行きました。原作を読んでいたのでどうアニメで表現されているかも気になったので〜。原作を壊すことなくクオリティが高い作品になっていました!ややネタバレも含む感想です。
ルックバック 背中ではじまり背中でおわる
定点観測のような主人公の背中のシーンがいくつも出てきます。
いつだって机に齧り付いている。
それはラストもかわりません。
背中が語っているの。
それはひたすら漫画にしがみついている主人公の生き方なのかも。
時間の経過が背景の変化で語られていてそこを凝視するだけでも楽しい。
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好きの世界の広さを知った時、おのれの小ささも知る
小さい時って、自分の世界はすごく小さくて、そんな中で褒められると
”わたしってすごいんだ”って思ってませんでした?
ピアノだったり、運動だったり、お絵描きだったり。
夢はピアニストになることです。
夢はサッカー選手で、オリンピックに出たいです。
子供の頃の小さなコミュニティではあまり比較がないのでやたら自分が特別に見える。
そしていつのまにか根拠のない自信や浮かれた気持ちが湧き上がったものです。
「ルックバック」の主人公「藤野」もそんな浮かれコンコンチキでした。(汗)
「藤野」は学年新聞で4コマ漫画を投稿し、いつもまわりに賞賛され”学年で自分が一番上手い!才能ありまくり!”と思い込んでいる小学4年生。
ある日、学年新聞の4コマ枠を隣組の不登校「吉本」に一枠譲っていいか?と先生に聞かれて
まぁ、わたしは別にいいですけどちゃんとした絵を描くのってシロウトには難しいですよ?
とまで傲慢なセリフを吐く自信満々ぶり。
ルックバックはそんな滑り出しから始まります。
当初しろうとと見切って「ひきこもり吉本」をあなどっていた藤野。
しかし蓋を開けてみると。。
吉本の4コマをみて驚愕!
同じ年齢の集団で力の差をみせられるほど破壊力があるものってないですよね。
自分は井の中の蛙だったと知り、嫉妬とともにリベンジに燃え、それから独学で猛烈に絵の勉強を始める藤野。
しかし6年生の学年新聞で再び吉本の4コマと並んだ自分の漫画を見て「力の差」をみせつけられます。
静かに「や〜めた」とつぶやき、卒業までありていな日常へ戻っていきます。
色々なことに挫折したあの時あの頃の自分。
あきらめた自分。
みていて心がひりついて、遠い昔の残念な自分と藤野が重なります。
刺さる〜
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負けたと思っていた相手からリスペクトされる有頂天シーンが好き
物語ではひきこもりの吉本の家に卒業証書を届け、吉本からいかに藤野の漫画がすばらしかったかを告げられるシーンがあります。
藤野先生!
同学年であり、自分が負けたと思っていた相手から『先生!』と呼ばれ挙句サインまで求められる。
こんな嬉しいことはないですね。
漫画では藤野が雨の中見開きで嬉ステップ♪を踏むシーンが、アニメではアップではなく動きで表現されています。
アニメだからこそ表現できるシーンに作り替えた押山監督の心意気を感じました。
漫画ではわからなかった山形弁で話す吉本も、アニメではじめてリアリティを帯びていきます。
こう言うところの設定がこまかいな、さすがだな〜って思いました。
たらればの世界を挟みながら愚直に今日もまんがを描く主人公の背中
ふたりで進んでいくようにみえた「漫画道」。
ペンネームも「藤野」と「吉本」をあわせた「藤本」となり、これは原作者のペンネームと重なります。
しかしこのコンビも早い段階でおのおのの道へ分かれることに。
1人漫画をかく「藤野」。
美大へ進学する「吉本」。
アニメではアシスタントの件で編集さんとのやりとりがスルッと入っています。
漫画では描かれていないシーンです。
”××さんは仕事も早くて上手いんですが、、、”
と言うセリフは「藤野」にとってやはり「吉本」の存在は別格なんだと思わせるセリフです。
そして事件が。
たらればのシーンを挟みながらラスト現実にもどっていく漫画家『藤本』。
永遠に吉本と一緒に漫画を作ることができなくなったとしても。
それでも机に向かう『藤本』の後ろ姿にクリエイターの孤独と矜持が現れていました。
ただひたすら愚直に描き続ける。
それが「天分」を追い抜く「才能」になっていくのですね。
『ひとり藤本』の藤野はいつだって背中で己を語るのです。
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映画は58分と短め 入場者特典付き
チケットは1700円均一。
シニア割とか一切ありませんでした。
そのかわり劇場アニメ入場者特典として絵コンテが冊子(右緑の冊子)になって配布されます。
今回十何年振りでしょうか、パンフを買ってしまいました。(左1500円)
表紙が再生紙っぽい厚紙で良い♡
映画は58分と短めです。
うっかりポップコーンとドリンク買っちゃうと食べきれないし飲みきれません(笑)。
60過ぎて「ルックバック」で遠い昔のあのひりついた挫折感を引っ張り出したグリコです。
映像は綺麗だったし、原作を損なわないキャラクターデザインも秀逸なアニメ「ルックバック」。
本日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。
アニメもどんどん進化してます!
気になった方は是非!
BGMも良いですよ〜♡
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