「打ち切り世帯」の為、後々残されたものが負担にならないように、実の両親親を「自然葬」で送ったグリコール・グリコです。まずはお墓を持たない背景から説明したほうがいいですね。(この記事は2022年一部改定しています)
両親が墓を持たなかった背景
実父は東京世田谷生まれ 5人兄弟の末っ子
長兄息子が麻布善福寺にて○○家の墓を管理
実母は東京高輪生まれ 5人兄弟の4番目
長兄息子が多摩墓地にて○○家の墓を管理
・二人とも長兄、長女でないため継ぐべき墓がない。
特に実父は歳の離れた末っ子であり連絡を取り合う間柄の兄弟親戚は死滅していた。
・高度成長期時代に血縁関係のない土地に移住。
・私 一人っ子長女。
自然葬に至るまで実は色々葛藤も
実母が亡くなって1年以上、、実はお骨が家に有った。それはもちろん
・生前に入る墓を作っておかなかったから。
が第一であるが、
・実家の名前の跡継ぎがいないのに墓を作ってもどうなんだ?
という悩ましい問題を両親も棚上げしていたフシがあったから。である。
★実母は生前幾度も”私は何も残さない、名前も刻まなくていい、私は血が残ればいいんだあとは海に撒くなり好きにしてOK”とカラッと言っていた。
「血が残れば良い」ってあんたは吸血鬼かいっ、って心の中でツッコミを入れつつも「血脈」にこだわるイタリアンマフィア的発想に背筋がゾワッときた。(このこだわりも実は嫌)
あと両親は不仲がずっと続いていたので、実のところ実母は父と一緒の墓に入るのは抵抗が有ったのではないか?とも推測出来る。
夫婦がコミュニケーション不全で家庭内別居だったので「墓」の問題を正面切って話せる環境でもなかった、、というのが「お墓」問題が長い事避けて通られて来た要因の一つである、と書きながら 今更ながら気付いた。
そっか。
生前から母の親戚(叔母1)からお墓をどうするんだ?とやんわり絡まれていたのでカタチをつくるか(墓という形態)についてはこの私でもかなり悩んだ。
実母が亡くなって2022年で18年となるがその当時からポツポツ『無縁墓の問題』は社会問題として取り上げられ始めていた。後継の無い墓の撤去、無縁墓の不法投棄問題など。
今カタチを作るのは簡単だが、その後のことに関しては全く保証はない。
両親の墓が或る日地方の山間にガラガラ捨てられていたら、、マジ申し訳ない。なぜなら現在の私の家庭も同じく一人っ子長女なのだから。
そんなこんなが有り、生前実母からの申し送りもあって渋りがちな実父の尻をはたいて
実母お望みの海洋葬と相成ったのである。
(スポンサーリンク)
生前から実母が希望していた「海洋葬」
生きているときから”私は海に撒いてもらえればそれでいい”と言っていた実母。
その意志はきっぱりしていて実母らしいな、と思っていた。
でもいざとなるとぐずぐず行動出来ず(実父との意志統合がなかなか得られなかったこともあり)骨壺は実母が使って居た日本間に1年ちょっとど〜んと鎮座していました。
西側の出窓の所に置いて有り、人が来るとささっと布を被せて見せないようにする、、という日々。
いつまでもこんなことではいけないとネットで探すこと数ヶ月、、家からそう遠く無い、アクセスがよさそうなところ発見。
自然葬のルールは?
当時の業者のパンフをみると”刑法190条の規定では、社会的習俗としての宗教的感情などを保護するのが目的であり、葬送のための祭祀りで節度を持って行われる限り散骨は問題ない”との法務省が見解を示しました。とありました。
(※これは平成3年に市民団体が神奈川沖にて行った散骨について法務省が見解を示したものがその後の海洋葬の大きなガイドラインのベースとなった経緯が在る。)
当時の散骨のパターンが以下のもの。↓
- 船による海洋葬
- ヘリコプターによる自然葬
- 山への自然葬
が紹介されている。(ちなみに今はアメリカやロシアからロケットを打ち上げて宇宙葬なんていうものもアリ)
散骨のお約束は
- 遺骨をパウダー状にする
- 湾を6海里以上離れる(漁場を風評被害等から守る)
- 山などに散骨する場合は個人の土地に勝手に撒かない(当たり前)
高倉健さん主役の「あなたへ・・・」で海での散骨シーンがあるが遺骨が骨壺から直接握られて撒かれており、あれは実際にはあり得ないのである。
現在パウダー状とは粉が2ミリ以下程度、と業者間でガイドラインも設定されている。
(スポンサーリンク)
実際に行ってみて費用と注意点 予想しなかった船酔いが襲う、、
従姉妹に”おかあさん、海洋葬にするわ”といったら
”いくいく!兄弟に声かけるから〜参加する♪”と物見遊山200%で参加。
”ええ?くるの?い、いいけど・・・”それがあとで色々と大変なことになるのだが、、、
海洋葬の費用はどのくらい?
個人葬として
我が家4人+親戚6人 総勢10人。
クルーザーをチャーターして予算は241、500円也。(※2005年の相場です)
海洋葬の手順は?
・まず集合場所で遺骨を業者に渡して遺骨をパウダー化。
・港へバスで移動
・港からクルーザーに乗る
予め業者から”当日は船が滑りやすいのでゴム底などの滑りにくい靴で来てね、とかラフな格好でいいよ〜”など諸注意の紙をもらっていたので、従姉妹達にはその紙をファックス送信した。
海洋葬のため沖に出る
海洋葬の日はちょっと風があるものの、まあまあの天気であった。なんせ6海里は離れなくては行けないので陸が段々見えなくなる。
この時『あ、ホントだ、地球って丸いんだ』と思った。沖に出ると波がやや荒くドンブラコ。
しかし沖に出てから従姉妹達に異変が起こった。
物見遊山の従姉妹達は丸腰で乗り込んだものだからさぁ、大変。エチケット袋を握りしめ、あわや「撒き餌」となるギリギリのところ、、顔は青ざめ、個人を偲ぶどころではない。。。
私たちファミリーは主催側でもあるので、「船酔い」しては大変と前もって「酔い止め」を飲んでいたのでセーフ。
かたや、クルーザーの船長さんや海洋葬の担当の人は海慣れしているので涼しい顔ですましている。
”あの、なんか船酔いギリギリみたいなんでここら辺で駄目ですか?”なんてお伺いをたてるが、
”6海里離れないとちょっと、、、”とルール厳守でクルーザーは粛々と進む。。。
やっとぎりぎりラインまで来て『レッツ散骨』。船を停めて鐘を鳴らしてくれる。
その中で厳かに散骨。従姉妹達もやっとはじまる、、とホッとした顔に変わった。
散骨の様子
パウダー状になった骨を大きなロートから海に撒く。環境保護のため、献花は花の部分だけ。あと形だけ、お茶を少し。
外海は深い蒼で2〜3mは透けて見える。その中を粉になった骨が立体的に散りながら拡がっていく。
水の立体感を感じたし、なにより自然に還る、、ということを肌で感じ取れた。
”さよなら、おかあさん、、、また、ね、またどこかであえるかもね。”
母なる海というのだから巡り巡ってどこかで逢えるかも知れない。それはいつだかはわからないど。。。。
(スポンサーリンク)
終わってみて
陸に戻って会食をして温かいスープを飲み始めると従姉妹達の顔に血の気が戻った。
放った一言が
と、素直な本音に”あ〜ロマンチックな加山雄三っぽいのをイメージしてたな、、まさか船酔いするとは想像しなかったんだぁ、、、”と心の中で苦笑いをした。ここでの教訓は、
海洋葬をするなら
散骨や自然葬の内容について参加者にしっかり伝えることが必要、酔い止めは必須。
市の条例で許可が下りていないところもあるので下調べは必要!
後から業者さんから海洋葬の証明書がアルバムと一緒に届きました。↓
やっちまった私。でも悔いはない。
石のお墓という形はないけれど、決してご先祖を粗末にしているわけではない。
お盆だ、おひがんだ、となれば個人の好きだったモノをチェストの上にお供えするし、思い出したりする。
石、という形を残して草ボーボーにする方が私的には心が痛い。
今まで死んだら石のお墓に入れるもの、という既成の考え方をちょっと変えただけ。
どこかで誰かが新しい埋葬スタイルに舵を切らなければ、墓守という役割を誰かが背負わなければならない。
それはあまりにも理不尽だ。
幸い娘チョコも私の両親の自然葬を目の当たりにしており、”自然の理にかなっている”と言う。
打ち切り世帯はこのような大胆な意識革命も必要だ、と私は感じているし、行ったことに悔いはない。
もちろんちゃんとお墓を守って行く人たちを否定するものではありません。
これは『打切り世帯』の一つの事例、とみていただければ嬉しいです。次回は実父の樹木葬について、です。
これから世代の参考になれば、とリライトさせていただきました。
コメント