こんにちは。このところ私が住む地域でも海岸に「夜光虫」が出現して、見にいくか否かで話題になりました。そんなトピックにこころ騒つかせながらも、日々の合間にホッと一息つく読書時間は何よりの贅沢となります。先日、以前から気になっていた一冊の本を読み終えました。
杉山響子さん著の『憤怒の人』(文藝春秋)です。
憤怒の人
希代のベストセラー作家であり、いつもパワフルで、私たちに「あきらめない勇気」を教えてくれた佐藤愛子さん。
義理母つうさんも大好きな作家さんでした。
その実の娘である響子さんが、母親としての佐藤さんの素顔と、その後に訪れた「老い」と「介護」の現実を綴ったエッセーになります。
今回読んでみて改めて分かったのですが、作家の杉山響子さんとわたしは同い年。
実母も佐藤愛子さんと同い年となるので、この偶然の組み合わせには本当にびっくりいたしました!
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作家・佐藤愛子ではなく、型破りな「一人の母親」としての姿
私たちがメディアや作品を通して知る佐藤愛子さんは、まさに「憤怒の人」という言葉がぴったりな、芯の通った強い女性です。
そして、本書で描かれているのは、やっぱりどこか世間とは違う「亥年」の猪突猛進な「母親の姿」でした。
優等生的な母親像ではないところが、、これまたイイ!
読み進めながら、わたしも実母のことを思い出していました。
実母は佐藤愛子さんほどではありませんでしたが、「信念」を持って生きていた人なのです。
時にその思いが「熱すぎて」ヤケドしそうになったことを改めて振り返りながら、昭和の時代の様子を一緒に回想して、ふふふ、、と口元が緩んでしまいました。
そして「あ、まさにこれはまさに我が家のことかな、、(滝汗)」と思った章もありました。
それが「普通の親はやらないよ」の章です。
作中では芝居がかったエピソードが語られているのですが、この「芝居がかったこと」を私自身もよくやってしまうのです。
そして、娘のチョコが色々と被害になっています(笑)。
自分も似たようなことをやっているな、とにんまりしてしまいました。
「あの佐藤愛子さんでも…」老いと認知症がもたらす現実
読み進める中で、最も胸に迫るものがあったのは、やはり「老い」と「認知症」の描写です。
あれほど明晰な頭脳を持ち、言葉を武器に戦ってきた佐藤愛子さんであっても、高齢になれば認知症という現実と向き合うことになる――。
この事実は、同じように年齢を重ねていく私たち読者にとっても、決して他人事ではない大きな衝撃でした。
義理母つうさんが知ったらさぞ衝撃が走ったことと思います。
知らないままgo to heavenして良かった。(のか?)
タイトルにある通り、元々が「憤怒の人」です。
衰えゆく自分への苛立ちや、認知症の症状から来る混乱が、周囲への激しい感情となって表れることも少なくなかったようです。
綺麗事だけではない、在宅介護のリアルと救い
作中では面白おかしく書かれてはいますが、、
実際、認知症の症状からくるあれそれに、付き合わされる現場がどれほど過酷で、それなりに大変なものであったかは、響子さんの文章の端々からリアルに伝わってきます。
「助けてください!」の章では、切迫した家族の様子が綴られています。
早朝からご近所に『監禁されている!』と佐藤愛子さんが叫ぶシーンでは、隠し通していた「認知症」が本人の行動によって白日の元に晒されてしまいます。
心の中のモヤモヤを家族と話すと、みんな不穏な気持ちを抱えていたのです。
「疲れてるね」
「みんな疲れているんだよ」
この会話は自宅介護の限界が隠すことなく、綴られていました。
その現実を突きつけられる切なさはありますが、同時に、美化されていないからこそ、心に深く刺さるものがありました。
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あっぱれ。杉山響子
しかし、杉山響子さんの文章には、不思議と暗い悲壮感だけが漂っているわけではありません。
そこには、長年培ってきた母娘の絆と、どこか冷徹で客観的な「作家の家族」としての視点、そして何より深い愛情とユーモアがあります。
私のほとんどが母によって作られた。だから私の中には母のカケラがいっぱい詰まっているのだ。今、私はそのカケラを繋いで母をつくっている。
「憤怒の人」P111より引用抜粋
杉山響子、伊達に佐藤愛子の娘をやってきたわけじゃない。
的な、、作家ファミリーの矜持のようなものも感じられ、そのたくましさにどこか救われる思いがしました。
これからのシニアライフをどう生きるか
「憤怒の人」を読んで感じたこと。
それは
いくら先を見据えて準備や用意をしても、自分の思った通りになぞいかないし、認知症になるもんか!と思ったとしても、なる人はなる。
家族に迷惑をかけたくないと思っていても、そうなってしまうことだってあります。
だからそういった変化を「嫌なもの」と拒否せず、丸っと受け入れるしかないのかな、、とも思うのです。
なんかこの頃開き直りというか、「諦観」の気持ちが大きくなってきました。
グリコ出たとこ勝負だ!
といってしまいがちな自分が今日もここに存在しています。
- 親の介護に直面している方
- これからの自分の老後について考えている方
- 佐藤愛子さんの作品のファンの方
どんな世代の方が読んでも、きっと心に残る一節が見つかるはずです。
ぜひ、温かいお茶を片手に、じっくりとページをめくってみてはいかがでしょうか。
最後に、、
娘の響子さんの中にたくさんの「カケラ」を遺して旅立たれた佐藤愛子さん。
数々の素晴らしい作品への感謝とともに、心よりご冥福をお祈りいたします。
(※佐藤愛子さんは2026年4月29日にご逝去されました。)
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。




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